同記事に対する日本と欧米との扱いの差異(Softbankの例)

Feb 9, 2021のFT/WSJ/日経朝刊は一斉に日本のSoftbankが好調な決算状況であることを伝えていた。同じことを伝えるのに、日本と欧米間では、伝える内容と読者へのメッセージには差があるように感じる。

・紙面上の扱い
  FT/WSJは1面トップで最重要記事扱い。
  FTは決算発表会で孫氏がプレゼンテーションしている写真(背景には、がちょうが金の卵を産んだスクリーン)を中央上段に表示。
  WSJは同じ日に同国の注目企業Tesla社がBitcoinに$1.5bn投資したことの記事よりも重要な扱い。

  日経は1面上に孫氏の写真と小さい見出し、3面の下段に記事本文。
  記事では、2017年のトヨタを超え、日本の過去最高であることを強調。FT/WSJではトヨタを超えたことは触れられていない。
  尚、同日の1面トップは、自動車の走行機能をソフトウェア更新だけで走行性能を高める新技術をトヨタ・日産で導入する内容

・利益額の集計期間
  FT/WSJは10-12月期で$11bn(約1.2兆円)、
  日経は4-12月期で3兆円

・2020年1-3月期の赤字
  FT/WSJは赤字額に触れ、そこから回復したとの記載
  日経は記事なし(2020年1-3月期に赤字を発表した際には大々的に報じていた)

・Vision Fundからの投資先
  WSJは、主な投資先社名、決算時点での投資先別の評価損益額を棒グラフで表示。いい投資以外にも、ride-hailingでは中国のDidi Chuxing・東南アジアのGrabのように評価額が投資額を下回っている例も紹介。
  FTは、Vision Fundからの投資先社数(131)と今までのIPO社数(15)と紹介。
  日経はいくつかの社名、それらが“堅調”とのコメントのみ

・今後の展開
  WSJは、今年3月に韓国のe-commerce Coupangが3月にIPO予定、SPACを少なくとも4社設立上場予定。
  FTは、韓国のCoupangや中国のDidiが近い将来にIPO予定。
  日経はArmの売却に合意済であることのみ。

おとといのイスラエルでの新型コロナワクチンの効果に関するコラムに続き、筆者が日本以外の新聞も購読している理由がお分かり頂けるのではないかと思う。もっともSoftbankの例のように、もっと詳しく知りたい筆者のような読者は日本にたくさんいるかどうかは分からないが。

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株式会社ランアクセル
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