相続
2023年3月から取り組んでいた相続のご相談が、漸く終えられそうな段階まで来たのでここでご紹介させて頂くことにした。おととしから1年半ほど従事していたコロナ禍補助金の仕事でご一緒させて頂いた知人から、FPである私にお声がけ頂いたことがきっかけで関わっていた。
東海地域で複数の不動産を所有する事業主様が、某銀行からの借入金の取り立てを苦に自殺されたそうだ。「借入金が多いので相続放棄してはどうか?」と顧問税理士は言っているが、そのほうがいいのか?と妹様が知人に相談してきた。ただでさえ混乱されている時に、億単位の決断を迫られていた。
知人は私以外にも、別の税理士、弁護士、地元と都内の複数の不動産会社などと相談し、相続スキーム、相続税の試算、相続財産の売却見込み額の算出などを行った。すると、相続後にその不動産資産を売却すれば借入金は全額返済でき、それ以上に売却益が出る可能性があることが分かった。
途中いろいろな困難に直面したが、知人の縦横無尽な行動と、当方からもFPとしての助言を差し上げ、何とか乗り切ることができ、そして今週、相続した全ての不動産を売却する契約に締結にこぎつけたと連絡を受けた。売却益も数千万円出るようで、本当に良かったな、と思ったが、それ以上に、顧問税理士が我々が今回行ったような対応の検討・提案はできなかったのか、また、某銀行がコロナ禍の“ゼロゼロ融資”を活用した提案ができなかったのか、もし、どちらかが提案されていれば大切な命が失われることはなかったのではないかと思うと、本当に残念に感じられた。
お客様へご提供するサービスは契約に則って行うのはもちろんだが、本当にお客様のためになることを考えて提案しないと、時にとりかえしのつかない事態を招く。今回の顧問税理士と某銀行は、お客様ではなく、自分のことを最優先に考えていたから提案できなかったと思えて仕方がない。